生野の財産

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株式会社木村工務店

専務取締役 木村貴一さん

一級建築士。

平成5年4月株式会社木村工務店専務取締役に就任。

生野区内外の個人住宅、工場、店舗、公共施設の設計・施工に携わる。

同社のIT化、広報としてのHP作成にも力を注ぐ。

株式会社木村工務店オフィシャルサイト
http://www.kimuko.net/

住む人の「器」である家づくり

大半の打ち合わせに参加。コミュニケーションの中で生まれる家。

多くの人にとって、生涯で一番大きな買い物になるであろう「家」。新築はもちろん、大掛かりなリフォームも、生涯にそう多くない機会であろうから、一番信頼できる人に任せたい。では、信頼とはなんだろう。それは、家を建てるという目的に向かって出来る限り誠実に、一緒に取り組んでくれているという実感であると思う。 木村氏は、自身が関わる案件の大半の打ち合わせに参加するという。最初のプラン作りはもちろんの事、実際に工事が始まってからの現場での定例打ち合わせや、時には施工後足を運ぶこともある。気をつけているのは、とにかく沢山コミュニケーションをとること。施主はもちろん、家の中身を決める建築士や現場の職人さんたち…その中で、細かい部分のこだわりを詰めていく。見積もりは全て積算に基づいて、納得が得られるまで厳密に行う。最近よく見られるようになった「坪当たりいくら」という考え方はしない。「ものづくりとは、数字に置き換えること。その上で、数字以上の広さを演出することがこだわりだと思っています。今でも、お客さんに誉めてもらった瞬間が一番嬉しい」。HPトップに掲げられる「私たちと一緒に家を造りませんか」というメッセージにも、そのスタンスが伺える。

氏の考える「いい」職人とは

「生き残っていけるものづくりは、『めんどくささ』のなかにある」

「家をつくるというのは、住み心地を作ることだと思っています。そのなかで、いかに『め んどくさいこと』をやり続けられるかが、大事だと思う」例えば、建材にムク材を使うこと。面取りなどの手間はかかるが、自然な風合いで快適な家にとの心遣 い。ムク材に限らず、木の素材に徹底的にこだわっているので、全国の製材業者に自ら足を運び、選ぶ。 道具や建築材料の進歩で、プラモデル的に家を組み立てる事も可能な昨今。施主の要望にじっくり耳を傾ける、リフォームだったら現状を観察・分析を重ねる。 少しでも住み心地がよくなるよう、少しでもコストが押さえられるよう知恵を絞って工夫すること。目に見えない安全性に心を砕くこと。楽をしようと思わない で「面倒くさいことを面倒くさがらずにやる」ことが、いい職人の定義。少しのスペースもムダにせず、考えて考えて造られた家。デザインに左右されない、目 に見えない住み心地へのこだわりがプロの仕事なのだ。人気TV番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」に出演の際は匠「空間の仕事人」と称された。ご本人 は「匠なんて・・・」と謙遜されるが、木村氏の姿勢をうまく言い得ている。もちろんブラウン管を通さずとも、スペースへの徹底した集中力は途切れることが ない。

一人に一台パソコンがある工務店

「新しいものづくりにはITという技術は欠かせない」

木村工務店の入り口をくぐって、まず驚かされるのがそのスタイリッシュな建物のつくり。事務所というより、オフィスと呼ぶのがぴったりの事務スペース。 聞けば、同社では、社員一人に一台パソコンが完備されているという。パソコンとパソコンはネットワークで繋がれ、グループウエアーシステムによって、ひとり一人がスケジュールや社内の告知事項・現場報告事項を共有している。中身を少しだけ覗かせて頂いたのだが、現場の写真や所見など、ひとり一人がとても上手に活用していて感心した。こうやって現場と上手く繋がっていくことで、仕事をより正確に、楽しくこなすためのツールとしてコンピュータを活用している。 2階には簡単なキッチンや談話スペース、広々とした会議室などが完備されていて、アナログのコミュニケーションもしっかり大事にしている社風が印象的であった。

「住む」という視点で生野を見て

「この環境でしかできないものづくりがある」

生野で生まれ、生野で育った木村氏。受注する仕事は遠く県外にまで及ぶが、「生野区なら ではの仕事」にも面白さを見いだしている。 古くからの町並みが残る生野区内のリフォームは、限られた長屋状のスペースを現代の安全基準に合うように住みやすく作り替える工事も少なくない。「めんど うくさいこと」や工夫が活きる仕事で、「新築では出ない味わいをリフォームで実践できるのも楽しみ」と語る。 ただ、店舗や工場だったスペースをLDKなどの住居スペースに変える工事は「少しさみしい気持ちになります」。高齢化などによって仕事場を閉めるところが 多いのだ。 生野の歴史を間近で見つめ続けてきた木村氏。その技術と感性で、これから生野の街並みをどんな風に変えていってくれるのだろうか。とても楽しみだ。